弊社Hawaii Livingのウェブサイトでは、ハワイ不動産に関する最新の統計数値を数多く掲載しています。サイトのホームから検索すると(例:販売中のホノルルコンドミニアム)具体的な物件が掲載されたページに進むことができます。すべての情報はオアフMLSから直接データを引っ張ってきています。
バイヤーにとってもセラーにとっても不動産の統計データを理解すること、そのデータ関連性やデータが現状を的確にとらえているか否か見極めることは重要です。
新規開発:開発業者の販売部門は、既に売却された物件をMLS上に掲載することができます。プロジェクトが完成しバイヤーが所有権を得た後でも当該物件をMLSに掲載することができるのです。例えば、ワイエア、アナハ、パークレーンの販売部はバイヤーが所有権を得た後にMLSに売却済の物件データを掲載しました。つまり、
- 短い期間に数多くの高額の売却済コンドミニアムがMLS上にあふれ、ある地区の不動産価格が急激に高騰したかのような誤った印象を与えます。
- 販売日数が0日と表示され、ある地区の不動産販売のスピードが実際よりも早く売れているという誤った印象を与えます。
例:2017年にパークレーンでは180軒以上のコンドミニアムが正式に売却されました。これらの売り上げが同じ年にMLSにアップされました。パークレーンがあるアラモアナ地区の中間販売価格は2016年には30万ドル強だったのが2017年には150万ドルに高騰しました。また、中間発売日数においては2016年には91日だったのが2017年は2日と極端に短くなりました。いずれのデータもアラモアナ地区のコンドミニアム市場のトレンドを表したものとは言えません。
エスクローステイタス:以前は、ある物件が契約下の状態になった(エスクロー期間に入った)場合、不動産業者がオアフMLSポータルの物件ステイタスを「Active Continue to Show」または「Pending」に変更することとなっていました。この二つのステイタスの意味合いは、「Active Continue to Show」となっている時はまだ内覧ができる状態で、内覧ができなくなると「Pending」に変更されるというものです。しかし実際には、すでに内覧希望に応じることができない物件でも多くの不動産業者が「Active Continue to Show」と表示し、登記の日がいよいよ近づいてから「Pending」に変更していました。
2017年、ホノルルボードオブリアルターズはこの用語を変更し、不動産業者が「In Escrow – Showing(エスクロー期間中-内覧可)」、「In Escrow – Not Showing(エスクロー期間中-内覧不可)」から選択することになりました。用語が変わっただけで意味としては以前と全く同じです。それでも、新たな選択肢の導入により以前の「Pending」に変更していたタイミングよりも早い段階で「In Escrow – Not Showing」に変更する不動産業者が増えました。
また、「Days on market(売り出し期間)」の計算方法においては、物件ステイタスが「In Escrow – Showing」となって以後は日数を加算しなくなりました。(以前は物件ステイタスが「Pending」変更されると加算が停止されていました。)2017年以降と2016以前のデータを比較した際、この変更により多くの地区や都市の統計で市場日数が極端に短くなる現象が起こっています。
例:ホノルルの所有権の一軒家の中間発売日数は、2017年は22日であったのに対し、2016年は71日でした。このデータでは、2017年には2016年の3倍以上のスピードで一軒家が売れていったことになりますが、実際はそういうことはありません。
再売出し物件: ある物件をMLSに数百日間掲載した後、いったんMLSから数週間引き揚げ、市場日数0日で再度掲載し直すことがあります。前回の売出し期間は市場日数に加算されません。
借地不動産権: 借地不動産権の物件には、当該物件に対する権利がなくなる契約期間の満了があります。詳しくはこちらをご覧ください。オアフ島の物件のうち約5%が借地不動産権物件です。借地不動産権と単純不動産権の物件を合わせて統計を出すこと、特に価格などにおいては、区別すべき事柄を一色淡にしており全くナンセンスです!
例:借地権と所有権の物件を合わせた2017年のワイキキのコンドミニアムの中間販売価格は39万ドルです。このデータから借地不動産権の物件を除いた中間販売価格は45.5万ドルになります。
注:弊社Hawaii Livingの統計では、地区別、都市別の算出では借地不動産権のデータは除いています。
売主希望販売価格に対する売買価格の比率: ある地区の物件の売却価格が、売主希望販売価格の平均98%だったと考えてみましょう。これは、この地区の物件が一般的に売主希望価格に対して平均98%で売れることを意味しています。確かに把握しておくべき有用な情報かもしれませんが、市場価格を判断するうえでは直近の同じような売買の分析をより重視するべきでしょう。
中間値と平均値: サンプルサイズに対する中心傾向を表すには、平均値よりも中間値のほうがより的確です。つまり、中間値は極端な外れ値を除外するのに良い方法と言えます。
例:1年間にあるビル内のコンドミニアムが3軒売れたとします。コンドミニアム1は100万ドル、コンドミニアム2は200万ドル、コンドミニアム3は1,000万ドルで売れました。この場合、ビル内のコンドミニアム中間販売価格は200万ドル、平均販売価格は433万ドルとなります。
注:Hawaii Livingの統計は、中間値に基づいています。
データ不足: ある地区で物件販売数がわずか数軒しかなかった場合、その統計結果は現実を表すものとは言えません。
例:1年間にある地区で3軒の一軒家が売れたとします。住宅1は100万ドル、住宅2は400万ドル、住宅3は420万ドルで売れました。この場合、この地区の中間販売価格は400万ドルとなります。
この地区のほとんどの物件が400万ドルよりはるかに安く、数軒の高額物件がたまたま同じような時期に売れただけの可能性があります。統計的にそのデータを有意とみなすにはいくつのデータポイントが必要なのでしょうか?これは難しい問題です。より深く高いレベルで統計を追及されたい方はMeasuring Uのこちらの記事をご覧ください。
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