ネポティズム? 2022年のハワイ不動産と私たちの目指す社会

弊社は不動産業者であり、政治には距離を置いています。人生は短く、メロドラマや非生産的なメリーゴーランドに費やしている時間はありません。

ホノルル市企画・許可部、市議会、市長は巧妙なトリックを使ってホテルコンド運営の独占を推し進めようとしています。姿を変えたネポティズムでしょうか?

ネポティズムとは、資格を無視し家族や団体、会社のため権力を乱用する行動を言います。ネポティズムは健全な自由市場経済と我々が目指す社会の構築にマイナスの影響を及ぼします。我々は倫理的な衰退、標準以下の価値観、政府の腐敗等を容認していけません。

企画・許可部は、住宅の入手しづらさを軽減し、違法な短期賃貸を取り締まるための解決策として法案41号を推し進めています。いずれの課題も大きな問題で、取り組むことに関しては大賛成です。

しかし、法案41号を支持することはできません。なぜなら、法案に記された目的とは関係ない危険な思惑が都合よく隠されているからです。

良識ある提案があったにも関わらず、法案は二分割されませんでした。市議会は2022年3月にさらなる慎重な協議を行うことになっています。市は市民をまんまと騙すことになるのでしょうか?皆が行方を注視しています。

最高裁も同様です。

違法なバケーションレンタルを取り締まることによって住宅地区を保護することは正当と認められますが、合法ホテルコンドを管理する選択肢を独占することは認められません

法案41号を市議会に提出したのは企画・許可部のディレクターであるディーンウチダ氏です。彼の妻であるジョイウチダは、ハワイ州最大のホテルフロントデスクオペレーターであるアクアアストンホスピタリティのトップエグゼクティブです。 法案41号が法制化されれば、アクアアストンホスピタリティが最大の受益者となるでしょう。 –利益相反?

この件を憂慮すべきとお考えの方はOSTRAに是非ご賛同ください。

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住宅地区における賃貸期間

数十年にわたり、オアフの住宅地区では、テナントあたり30日未満の賃貸期間が禁止されています。しかし、企画・許可部の法執行能力欠如と短期賃貸物件のメリットの大きさのあまり、一部の不動産所有者はその規則を曲げてきました。

近隣の苦情が発端となり、企画・許可部は2019年に市条例19-18号(法案89号)をもって、既存のゾーニング規制を強化しました。

市条例19-18号以降も企画・許可部は依然として規制強化に力を発揮できませんでした。一部の不動産所有者は、規則を知らないのかまたは抗議の意図なのか、「取り締れるならやってみろ」といった態度で短期賃貸を続けました。 今日でも、市条例19-18号を誤解したままの所有者もいます。 「1テナントあたり30日以上の最低賃貸期間」と「30日あたり1テナント」とは意味が異なります。

2019年10月4日、裁判所命令が下され、異議申立てが却下されました。

「賃貸契約、広告、勧誘、賃貸の申し出は、賃貸料の全部または一部が、あらかじめ30日未満の賃貸物件占有に予想または合意されている場合、市条例19-18号に違反します。」 ただし、「市条例19-18号は、賃貸人が最短期間、賃貸物件を物理的に占有することを要求していません。」 以下の場合、違反にはなりません。「1)所有者および/または運営者が、敷地の実際の占有期間を指定された賃貸期間よりも短い期間に制限していない場合、および2)所有者および/または運営者が、既定の賃貸期間全体にわたって敷地を占有するにあたり追加の対価の支払いを条件としていない場合。」

もし、あなたがまだ1テナントに対して30日未満で賃貸している、あるいは住宅地区内にある物件で30日賃貸契約を偽造しているなら、市が30日から180日にルールを変更したい理由の一端を担っているかもしれないと考えてみてください。

企画・許可部が行っている規制の運用実績は、良い時でもせいぜい標準以下です。建築許可の手続きに6カ月もかかり、最近の連邦政府の捜査で5人の職員が収賄罪で起訴されたのもこの部署なのです。残念ながらこれが私たちの税金で賄える行政なのです。

もし仮に市が最低賃貸期間を30日から180日に変更した場合、企画・許可部は書面による例外申請の承認を一件一件処理することになります。そのようなことになれば、企画・許可部にとってさらなる業務煩雑を生む悪夢となるではないでしょうか。

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ナッシュ均衡 

ジョン・ナッシュにちなんで名付けられたナッシュ均衡とは、マルチプレイヤーゲームにおける安定した戦略のひとつです。他のプレイヤーの行動を知っていて、それとは異なる行動を取りたくない状態を指します。

例えば、交通安全のため私たちの多くは「青」は進め、「赤」は止まれであること理解しています。

不安定な戦略とは、どのようにプレーするかを変えたい場合です。ナッシュ均衡の残念な例として、「囚人のジレンマ」があります。二人の推定犯罪者が、二人とも黙っていれば無罪となります。しかし、自分のことだけを考え密告した方は無罪放免になり、相方は捕まるというケースです。

この場合、黙っていることで無罪になるという双方にとって利益となる結果が不安定な状態なのです。相手がどうであれ、保身のために身勝手な行動をとりたくなるのです。相手も同じような誘惑にかられ、それを行動に移し、結局共倒れとなります。

ナッシュ均衡は、社会をより良くするための社会変革がいかに困難であるかを説明しています。環境汚染や新型コロナウイルス感染対策の破たん、住宅地区での短期賃貸などがそれにあたります。

  • もし、汚染をする方がしないよりも簡単で、汚染のコストが共有されるなら、ナッシュ均衡は汚染をすることである。
  • 新型コロナウイルス感染対策のルールを破ることが破らないよりも簡単で、経済への影響と医療逼迫の負担を皆が負うのであれば、ナッシュ均衡は、科学と医学的アドバイスを無視することです。
  • 住宅地区での短期賃貸が儲かるビジネスで、その弊害が皆で共有されるなら、自宅を短期賃貸することがナッシュ均衡となります。

私たちの多くは、環境汚染のない世界、新型コロナウイルス患者の少ない世界、隣の家で観光客がパーティーをしていない静かな平和な家で暮らすことを望んでいます。

身勝手な選択は、社会全体の不幸を生み出します。みんなの水場を毒するコモンズの悲劇なのです。

住宅地での180日賃貸と30日賃貸の比較に関しては良く分かりませんが、システムをごまかすために30日間の偽の賃貸契約書を書くことは利己的であり、無限ゲームに対抗する非生産的な行動です。

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The Infinite Game(無限ゲーム)

サイモンシネックは、その著書「The Infinite Game(無限ゲーム)」の中で、バルマー氏が在任中だったマイクロソフトが、何としてもアップルの四半期利益に勝とうとすることに執着していたことに触れています。マイクロソフトはアップルに勝とうと、画期的なアップルのiPodに対抗して、意匠を凝らした音楽プレーヤーZuneを無我夢中で開発しました。

一方、アップルは短期的な四半期利益にはこだわらず、競合他社がやろうとしていることにもほとんど動じないようでした。その代わりにアップルは、世界をより良く変えるために、最高のユーザー体験を提供することで、無限ゲームをプレーすることに集中したのです。その直後、アップルはiPhoneを発表し、瞬く間にZuneを生産停止に追いこみました。

アップルは、より良い未来のためにどのような解決策を見出すかという長期的なビジョンを持って正しいアプローチをしていたのに対し、マイクロソフトは目先の判断にとらわれ、意味のない指標を追いかけてしまいました。

「そんなこと言っても、これまでずっとそうしてきたし・・・」と思うかもしれませんが、それこそが、ドードー鳥のように消えていったブロックバスターや他の無数の企業の運命を決定づけた要因なのです。

今四半期をいかに勝ち抜くかは問題ではありません。大切なのはゲームを続けるために、いかに上手にゲームをするかということなのです。そのためには、公平性と持続可能性が求められます。それ以外はすべて、イノベーションにより混乱させられる危険性のある積極性に欠けた現状維持バイアスなのです。

テスラは、革新的なエネルギー/ソフトウェア/AI企業であり、社会に貢献するクリーンな未来を目指し、最高級の電気自動車を製造しています。

GMはそのテスラよりも前に電気自動車を発表しています。しかしGMは、電気自動車EV1を買いたいというドライバーの反対にも関わらず、すべてのEV1の生産を中止し、リコールし、計画自体を中止しました。それは、自動車業界が2001年に排ガス規制の骨抜きに成功した後のことでした。

強い権力を持つ石油会社は、輸送用燃料の独占権を失う危険性がありました。自動車会社は、EVはメンテナンス費や整備費が少なくて済むため、短期的なEV開発費用がかさむことと長期的な収益減を懸念していました。しかしはたして無限ゲームよりも即座に得られる満足感を選ぶべきでしょうか?まさかそんな訳ありませんね。 そのようなことをしても、満足できるのはほんの一瞬だけです。

今日では、技術革新によって、持続可能で、より良く、より速く、より安い、長期に渡って実用的な新しいソリューションが提供されており電気自動車が主流となっています。GMは何年も前に短絡的な判断でこの機会を逃してしまいました。GMは最終的に業界の波に追いつくことができるのでしょうか、それともマイクロソフトがZuneを失敗させたように、再び社会を失望させることになるのでしょうか?

良きライバルとの健全な競争は、ビジネスにおいても社会においても、私たちを向上させてくれます。それは電気自動車にも、不動産管理にも言えることです。

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公平性の法則に反する

ホイットニー・ヒューストンの突然の死去に乗じて、ソニー・ミュージックがホイットニーのベスト盤を死後わずか数時間で60%以上値上げしたことに、世間は激怒しました。

これは供給不足の問題ではありませんでした。吹雪で需要が急増したときの雪かき道具の品薄状態とは話が違います。ヒューストンの大ヒット曲のレコードは、ダウンロード販売で、しかも無制限に入手できるものです。はたしてこれは正しい価格設定でしょうか?

短期的な利益のために公正性に反する団体や企業を、世間は時として拒絶することがあります。理不尽な価格設定はかえって逆効果です。信頼を回復し、ダメージを修復するまでに何年もかかることになります。

かつてのGMファンは、GMがEV1を潰してしまったことに今でも腹を立てているかもしれません。ともすれば、テスラのファンになっているかもしれません。無限ゲームについて、上の章を見直してみてください。

法案41号もまた、間違いなく公正性に反しています。

不動産所有者が短期賃貸の恩恵に対し高い固定資産税を公正に負担しなければならないことには何の異論もありません。イリカイやイリカイマリーナ、その他リゾート複合施設地区にあるホテルコンドはで合法的に運営する短期賃貸物件には、ホテルと同様にこれまでも高い税率が適用されています。

関連記事:「ホノルル(ワイキキ)での合法バケーションレンタルガイド」をご覧ください。

低い固定資産税のメリットを享受しながらの短期賃貸は、若干タダ乗り感がありいかがなものかと思います。市はいずれその手落ちを調整するつもりでした。そのほうが公平であり、たとえそうなっても驚きはありません。

ただし、STRの登録料5,000ドル、年次更新料2,500ドルは過剰かと思われます。

「個人が自分のユニットを好きなように使う権利を守りたい。しかし、ホテル傘下でない限り、短期間のバケーションレンタルとしての賃貸はしないでほしい。」とウチダ氏。

この発言の問題点は、過剰な手数料は個人所有のSTRにのみ適用され、法人ホテルオーナーが所有する数千の部屋には適用されないということです。ダブルスタンダードではないでしょうか?

2021年12月7日のウォールストリートジャーナル年次CEO会議で、イーロンマスク氏は、東ドイツ対西ドイツ、北朝鮮対韓国の例を引いて、「政府がやることは最小限にすべき」の述べ私企業と公企業の効率性を賞賛しました。

競争の排除と過剰な規制は、投資と経済活動を縮小させます。それはハワイに必要なことなのでしょうか?何を求めるのかは注意しなければなりません。

より良いもの、より速いもの、より安いものが常に勝利します。それが進化であり、経済学です。イノベーションは進歩を促します。そして進歩は、生活や社会の質を向上させます。イノベーションがなければ、予防接種も、現代医療も、LED電球も、iPhoneも、電気自動車も存在しないのです。

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経済活動 – ハワイの総旅客数

ハワイが経済の多角化を図るまでは、観光が主要な経済の源であることに変わりありません。ハワイ経済は、観光客の数によって左右されます。

過去3年間2019年、2020年、2021年のハワイ総旅客数の比較を可視化したのがこちらです。このグラフは、インターアイランド便とカナダからの便を除く、すべての国内線と国際線を含んでいます。

Source: Department of Business, Economic Development & Tourism

最新情報やその他のデータについては、訪問者統計|一日の乗客数 (hawaii.gov)をご覧ください。

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法案40号 TAT13.25%に引き上げ

この法案は、上記の評判が悪い法案41号と混同しないようにしましょう。

市は歳入を増やすために、通常の州宿泊税(TAT)10.25%に加え、3%のオアフ島宿泊税(OTAT)を課す法案40を市議会で可決しました。

2021年12月14日より、1テナントあたり180日未満の賃貸から発生するすべての賃貸収入(およびクリーニング費用)に対する新たなTAT課税率の合計は13.25%になります。

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太陽光システム

ここまで読んでくださった方には、いい知らせがあります。企画・許可部に抱く印象はいろいろあるにしても、彼らは「利便性と効率性を原動力に」2021年12月20日から太陽光システムのオンライン許可申請手続きを開始し、ようやく21世紀を迎えました。 これは称賛に値するでしょう。

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ズームアウトして見てみる – 2022年の新年に向けて最後に思うこと

人類にとって、2021年の最も重要な出来事は、ジェームス・ウェッブ望遠鏡の打ち上げだったかもしれません。現在、100万マイル近く離れたL2安定軌道まで秒速1マイルのスピードで疾走しており、これは太陽から見た地球の裏側にある月までの距離のおよそ4倍にあたります。

目の前にある世界の問題を解決する方法は、無限にあります。ウェッブ望遠鏡は、宇宙や生命に関するいくつかの疑問に答えてくれるでしょう。より良い理解と可能性のある世界を創り出すのに役立つことでしょう。いまいちピンとこない、という方は5年後、10年後にその成果を比べてみましょう。