ホノルル不動産評価課はその年の10月1日に翌年度の不動産評価額を決定します。評価を行う鑑定士は、6月30日までに売買された物件5件と当該物件を比較し(理想としては同じ建物内の物件ですが、別の建物の場合も有)、また、7月から9月の市場動向を考慮したうえで、10月1日付評価額を決定します。10月1日付評価額が翌年度の固定資産税額決定に使用されます。
例:2017年10月1日付評価額は、2018年7月1から2019年6月30日までの2018年度固定資産税算出時に使用されます。
完成を控えた建設中のコンドミニアム物件に関しては、所有権譲渡や売買の記録がまだないため、鑑定士は開発業者とバイヤーの間で合意する売買価格の情報を持っていません。では、税務署の鑑定士は売買記録もない未完成のユニットの評価額をいかにして決定するのでしょうか?
その場合、鑑定士は建設費用に重点を置き評価します。評価額は実際の市場価値よりも低いのが一般的で、つまり10月1日付評価額は市場価値に比べて安く評価されることになります。
例: 2016年11月に完成した(ホノルル地区の新築コンドミニアム)ワイエア(第一期バイヤーは2016年11月に所有権を獲得)のユニットの2016年10月1日付評価額は、予想される市場価値よりも低く評価されました。鑑定士はこれらのユニットの評価額を決定する際、ワイエアの建設費に重きを置いて査定したからです。2016年10月1日現在、ワイエアは完成していないのですからもっともな判断と言えるでしょう。
次に、アナハ(ホノルル地区の新築コンドミニアム)のいくつかのユニットの2017年10月1日付評価額を見てみました。すると、複数のユニットで実際の市場価格に近い驚くべき評価額が出ていました。2017年10月1日までにアナハが完成しておらず(この日までに売買、登記されたユニットはありません。)、アナハの建設費も市場価値におよぶほどではないなら、なぜ評価額がそのように高く出たのでしょうか?そこで、不動産評価課に電話し、アナハのあるユニットの評価を担当した鑑定士にこの件について尋ねてみました。担当者によると、アナハは2017年10月1日までにほぼ完成していたため近隣の類似した建物から比較対象となる5件の売買(2017年6月30日以前の売買)を選びそれらを参考に評価額を決定したそうです。
さらに、ほぼ完成しているとの判断に至る要因を尋ねてみると、驚いたことに明確なガイドラインは存在せず鑑定士の主観により決定されていました。プロジェクトの約95%が完成していれば比較対象となる別の売買を参考にし、75%程度の完成率であればおそらく該当物件の建物自体の建設費をより重視して評価額を決定するとの回答を得ました。
まとめ
10月1日直後に完成した新築コンドミニアムを購入する場合、その年の10月1日付評価額は人為的に低く評価されている可能性があるためその評価額は参考にできません。不動産評価課に明確なガイドラインが定められていないのが多少残念ところではありますが、ある程度合理的で公正な方法で評価額が決定さているようです。