新型コロナウイルスの感染拡大以来、私達の周りでは様々な変化が起こりました。ここに幾つかの統計データをご紹介します。
消費者行動
下記のふたつのグラフはポールブリューベイカー氏ご厚意により転載しています。これらは2020年8月19日にホノルルボードオブリアルターズの会合で行われたポールのプレゼンで使われたものです。
Googleモビリティデータでは、人々がより長い時間を家で過ごし、職場の滞在時間が短くなっていることを示しています。
クレジットカードの利用状況を示すデータでは、食料品への利用が増加し、外食や旅行への利用が減少しています。
- 新型コロナウイルスの収束後も今のニューノーマルと言われる行動が日常的な様式となるのでしょうか?
- 新型コロナウイルスは住宅選好にどのような影響を与えるのでしょうか?
オアフ島の不動産
オアフ島の一軒家及びコンドミニアムはいずれも目覚ましい回復を見せています。しかし最近は、新型コロナウイルスの影響から一世帯用一軒家への駆け込みが起きており、これがオアフ島住宅事情の新たなトレンドとなっています。
数週間前、あるクライアントがハワイカイにある100万ドル弱の一軒家をオファーに出しました。するとこの物件は数日でなんと8件ものオファーを受け、提示価格を大幅に上回る価格で売れました。この物件を落札できなかった他の7人のバイヤーたちはおそらくいまだにハワイカイで100万ドル以下の家を探していることでしょう。
住宅供給
2020年8月30日までの統計を反映した最新の住宅データによると、一世帯用一軒家の供給件数はかなり少なくなっています。一軒家の供給量は昨年8月以降35%下落しており複数年にわたる記録的低水準です。
グラフ上では一軒家(緑)とコンドミニアム(黄色)の在庫推移の違いが表れています。
住宅需要
需要とは、一軒家やコンドミニアムが何件売れたか、すなわち何件「Closed Sales(クローズドセールス)」となったかという定義です。高い失業率にも関わらず一世帯用一軒家の販売件数は2019年夏のピーク時と同レベルです。(緑色のグラフを結ぶ点線をご覧ください。)
対照的に、コンドミニアムの販売件数は昨年に比べて20%程度減少しています。(黄色)
契約手続中
ホノルルボードオブリアルターズはその月の契約手続中件数も統計を出しています。その時点でのバイヤーの購買意欲を反映しており、その後30日から60日に予想されるクローズドセールス件数の目安となるからです。もちろん手続中の中にはクローズしない物件も若干出てきます。
MRI
Months of Remaining Inventory(マンスオブリメイニングインベントリー)(MRI)は発売中物件数を月のクローズドセールス件数で割った最新の指標です。MRIは供給と需要を1つ数字に落としこんでおり、市場の加速や減速の評価基準となります。
これまでは、MRI指標が5または6辺りに推移しているときにバイヤー市場とセラー市場のバランスが取れている状態でした。
ここからが興味深いところです。
昨年12月以降コンドミニアムのMRI指標は4.2で堅調に上昇していました。(黄色) 現在は減速しています。
一世帯用一軒家のMRIは2.1と記録的な低水準に落ち込んでいました。(緑色)しかし現在は勢いづいています。
現在見られる一世帯用一軒家とコンドミニアムのMRI指標の差は1995年に私が不動産免許を取得して以降最大幅です。
断片的ではあるものの現在の両極に伸びるMRI指標は、一世帯用一軒家の価格がもう一段階伸びる可能性とコンドミニアムの価格がもう少しズルズルと停滞する可能性を示唆しています。
中間売却価格
一世帯用一軒家の中間売却価格は839,000ドルと記録的な高値となりました。(緑色)MRI指標も記録的な低さであることから、今後数ヶ月間に中間売却価格のさらなる記録的数値を見ることとなるのでしょうか?
関連記事: 「2020年中間マーケット情報」をご覧ください。
記録的数値のワケ?
経済が大打撃を受け失業率が高い状況下でありながらどうしてこのような記録的数値が叩き出されるのでしょうか?
コンドミニアムではなく一世帯用一軒家だけに劇的な変化が起きた理由として考えられることをご紹介します。
- 「密」が低いことー今ではパーソナルスペースやご近所との距離が非常に重要な関心事です。ー自宅に庭があり、書斎やジムがあれば、コンドミニアムの共用アメニティを利用したいと思わないでしょう。見ず知らずの無症状感染者や自主隔離の義務を怠っている人とエレベーターを共有するのは自らをリスクに晒すことになります。
- 今や通勤することは時代遅れでコロナ禍の世界では在宅ワークの機会が増えました。リモートワークが可能ならばわざわざ運転してオフィスに行く必要はないのです。
- 記録的低金利により住宅購入の敷居も下がりました。金利は昨年来1%も下がりました。大幅な引き下げです。
今回の感染拡大の影響で失業しなかった人とっては、現在の記録的低金利で刺激された購買力が増築やより大きな家を買う可能性へとつながることでしょう。
- 80万ドル、3.5%金利で30年ローンの場合、月々の支払いは3,592.36ドル(元利払い)です。
- 80万ドル、2.5%金利で30年ローンの場合、月々の支払いは3,160.97ドル(元利払い)です。
- 80万ドルの物件を昨年の金利3.5%で買った場合の月々の支払額で比べると、現在の2.5%の金利では909,180ドルの物件が購入できます。
つまり、元利払いで同じ月々の支払額の場合、昨年よりも13.7%高い住宅ローンが受けられるということです。コンドミニアムよりも大きめの一軒家を選ぶ理由となるわけです。
このことから何が学べるのか?
データはつい最近のものですが、過去を見れば今後起こるかもしれない兆しが見えるかもしれません。知識を備えることでいざという時の決断力を上げることができます。
ご自身の結末を描きご自身の目標と価値観に沿って行動しましょう。前にも述べたように、私の勘の的中率は50%ですが、いくつか考えられるシナリオをご紹介します。
- 住宅購入の際には競合バイヤーに対応できるよう準備しておきましょう。その家が欲しいと思ったら、身を乗り出すことも必要かもしれません。
- 一度供給が減少し需要が増加すると一軒家の価格は不相応となり、購入に至らなかったバイヤーが再びコンドミニアムを選ぶ可能性があります。
- コンドミニアムのMRI指標が下がるとすぐに価格が上昇する可能性があります。
- 新型コロナウイルスの脅威が徐々に消失するとコンドミニアムを望む気運が戻るでしょう。
関連記事: 「ハワイ暮らし:コンドミニアム?一軒家?」をご覧ください。
まとめ
一世帯用一軒家の価格は新型コロナウイルスの影響により下がるどころか新たな高値を更新しています。
今年の初めに新型コロナウイルスが経済を破壊し始めた頃は、オアフ島住宅市場がこれほどの回復を見せるとは誰も予想していませんでした。しかし市場は理論に反する動きをすることもあれば短い期間で変わってしまうこともあります。最新情報をご希望の方は弊社のメールマガジンに是非ご登録ください。
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