オアフ島不動産マーケット最新情報-2019年上半期

最近TIP interviewで伝説の投資家ビルミラーへのインタビューが行われ、財政上の決断を下す際にビルが実践する役立つ手法がいくつか話題になりました。このインタビューから得るものがあったので、ビルの考え方のひとつをハワイ不動産投資にいかに応用することができるかご紹介することにします。

· シクリカルトレンドとセキュラートレンドを区別する

本題に入る前に、まずは2019年年初と2019年中間である現在を比較してみましょう。

現在の状況

アメリカは、緩やかかつ堅実な経済成長、記録的に低い失業率、継続的な賃金上昇、好調な企業利益、2%弱の緩やかなインフレなどをともない史上最長の景気拡大に恵まれています。

株式市場では過去最高記録を更新しました。

ジェロームパウエルFRB議長は連邦議会での演説で、7月末にフェデラルファンド金利引き下げの可能性を示唆し、FRBが現在の景気拡大を維持するために「適切に行動する」ことを確認しました。

これらはすべて健全な経済状況に向けた前向きな展開です。

2019年7月現在「懸念の壁」となっているのは、イギリスのEU離脱、イラン、北朝鮮、貿易関税、度重なる債務上限引き上げ問題などです。

パウエル議長は「潜在的なリスクに、企業投資の減速、世界経済の先行き不安、貿易摩擦」を挙げています。

一方でハワイの観光産業は新たに記録的な一年となり好調を維持しています。

ホノルルの短期バケーションレンタル新規制法条例89号による悲観的な予想とは逆に、弊社ではオアフ島の経済は問題ないだろうと予想しています。最終的に長期的なグラフで見れば一時的な下落もほとんど現れないでしょう。

ここで2019年の上半期と2018年の上半期のオアフ島不動産リセール数を比較して分析します。トレンドを見るにあたり、1か月分のデータでは短すぎるため半年分を比較します。

横ばい状態!

「Closed Sales(販売件数)」で示される需要は、一軒家で-3.7%、コンドミニアムで-8.8%の減少。

「New Listings(新規掲載件数)」で示される供給は、一軒家で5%、コンドミニアムで5.5%の増加。

「Median Sales Prices(中間販売価格)」は、一軒家で-0.5%、コンドミニアムで-1.4%の減少。

2019年上半期

下記の「販売件数」を示したグラフでは、夏季に販売件数が増加し、冬季に減少する季節要因によるジグザクがはっきりと見て取れます。

ここで注意すべき点は、過去18か月以上にわたり販売件数の夏季最高値と冬季最低値が一軒家、コンドミニアムのいずれも減少していることです。

オアフ島販売件数

昨年の中間販売価格は、多少のブレはあるにせよ横ばいでした。

オアフ島中間販売価格

一軒家では2009年、コンドミニアムでは2011年に始まった長期にわたる中間販売価格の「上昇の流れ」は、これまでのところ失われていません。その軌道が横ばいになる可能性があります。

6か月前は、30年固定金利住宅ローンの利率が驚異の3.75%にまで安くなるとはだれも予想しなかったでしょう。これは2016年11月以来の記録的な低金利です!

アメリカ30年住宅ローン金利

1971年以降で30年住宅ローンの金利が今日の低金利を下回ったのは、2012年5月から2013年5月、2015年1月から4月、2016年2月から11月のわずか3回だけです。

これは過去580か月のうちわずか27か月です。つまり、48年余りの間で30年住宅ローンを3.75%以下で借りることができたのは4.6%のわずかなチャンスしかなったということです。これは千載一遇のチャンスです。

お気づきでないかもしれませんが、我々は約30%の所得税を支払っています。アメリカでは連邦税の確定申告で主たる住居のローン残高から上限750,000ドルに対し金利の控除を受けることができます。

税引後に支払う名目金利は2.625%(3.75-30%)です。2%のインフレであれば住宅ローンの実質金利はさらに安い0.625%(2.625-2)となります。これは限りなく最低金利に近いと言えるでしょう。
借入費用(住宅金利)はアフォーダビリティ(住宅取得能力)の中のひとつの要因にすぎません。2019年半ば、ほかにも3つの好都合要因がそろっています。1)中間販売価格の若干の下落、2)金利低下、3)賃金の上昇。これによりオアフ島のアフォーダビリティは向上しました。

中間販売価格に関しては、a)需要(販売件数)の増加、またはb)在庫の減少がみられるまでは近々上昇の動きはないかもしれません。

2019年下半期の動向は?

弊社では、2019年中においてはオアフ島の中間販売価格は平行線をたどるとみています。

1985年以降オアフ島の中間販売価格は、一軒家で72.7%、コンドミニアムで66.6%の確率で前年比を上回っています。

つまり、歴史的にみるとオアフ島の一軒家またはコンドミニアムの中間販売価格は約70%の確率で上昇していると言えます。中間販売価格が据え置きまたは下落するのはわずか30%の確率ということです。

マーケットの頃合いと恐怖心の克服

ハワードマークスは著書「Mastering The Market Cycle(市場サイクルを極める)」の中で、「事実上、いかなる程度であれサイクルを計るのは不可能である。しかし、物事が極限に達した際には見極めることが出来る。これまでの歴史やその他の基準と比較して価格が極端に高騰したりまたは極端に下落した場合はそれと判断できる」と締めくくっています。

念のために言っておくと、今日のオアフ島不動産市場は、少なくとも過去の歴史やその他の関係する基準と比較して価格が極端に高騰または極端に下落しているわけではありません。

オアフ島不動産の価格が上昇するか横ばいかにかかわらず、ご自身が行動を起こす際にその時点の市場が安心できる環境でなければなりません。

Buddha’s Brain(ブッダの脳)」の中で著者リックハンソンは、人間の脳は危害を回避するようつくられ、我々の先祖は危害を回避しながら進化してきた、と唱えています。食料にありつくため蛇の危険を避けバナナの木に近づいた先祖たちは生き残る確率が高くその遺伝子を次の世代に引き継いだのです。後に蛇の危険を回避するため、ネガティブな記憶はポジティブな記憶に比べて優先的に記憶されました。

しかし、太古の先祖たちにとって実用的だったサバイバル技術は今日の現代社会においては我々を引き止めるものなのかもしれません。 我々は脳が報酬の見込みを超えてリスクを過度に重視していると認識すると、我々はその知識を持って思考を変え恐怖心を克服することができます。

バイヤーの中には未だ購入への恐怖心を克服できず現在のマーケットを好機ととらえられないものもいます。前回不動産価格が一時的に横ばいとなったのは、コンドミニアムでは2011年、一軒家では2009年でした。彼らは2009年、2011年以来マーケットが上昇している時にも恐怖心を持ち続け、現在も当時に匹敵する恐怖心を抱いています。

つまり、マーケットの状況に関わらず恐怖心をぬぐいきれない人がいるという事です。

ご自身を引き止めている恐怖心の原因は果たして想像の産物なのかそれとも実際に目に見て取れる証拠なのか今一度ご自身に問いかけてみましょう。

ハワイアンパームツリー

ここで本稿冒頭の「懸念の壁」とビルミラーがマーケット分析に応用する下記の考え方に立ち戻ってみましょう。

シクリカルとセキュラーを区別する

シクリカルトレンドとは、一時的に起こる状態です。これには、金利変動、フェドスピーク、トランプ大統領のツイート、貿易戦争関連の発言、さらには不景気などがあります。

セキュラートレンドとは、近い将来には解決しない状態で、なかには永続的かつ不可逆的なこともあります。これには、アナログからデジタルへの移行、ガソリン車から電気自動車への移行があります。ブロックバスター(大手ビデオレンタルチェーン)は完全に姿を消し、我々がロウソクの明かりや馬車の生活に戻ることもありません。といえば、お分りいただけるでしょう。

ピーターリンチは「実際の不景気よりも、不景気への懸念や不景気対策により多くの金が失われた。」と言っています。

案じるのではなく、シクリカルトレンドとセキュラートレンドの違いを理解し、その影響を算定しましょう。投資決定においては、セキュラーディクラインを避け、セキュラーアップトレンドでの投資が望ましいのです。

これをオアフ島不動産に応用する際、考慮すべきトレンドと基本的な力関係を下記にご紹介します。

1. 開発可能な島内の土地の供給には限りがあります。政府の形式主義により新規建設が制限されます。高い輸送費により建設費が上がります。

2. ハワイ不動産の需要は普遍的な様相で、アフォーダビリティのみが足かせとなっています。ハワイの不動産は、依然世界中の多くの人が望む商品として人気を上げています。

3.世界のその他の地域が混沌を増す中、ハワイは幸せで平和なトロピカルパラダイスとしての地位を維持しています。最近ではあらためて、全米一幸せな州として認められました。

関連記事「生活の質とハワイが世界一の気候を誇る理由」をご覧ください。

これらのセキュラートレンドが好調な限りハワイの不動産は堅実な長期投資先として留まるでしょう。

まとめ

両親が住む家の地下室に居候させてもらえるような幸運でもない限り、ご自身で家を借りるか買うかしなければなりません。

人生の選択には、a)現状を維持し、間借り、賃貸、持ち家など今ある生活を続ける、b)変化を起こす、という選択肢があります。今、そして今後のご自身にとって何が最善の策なのかはご自身のみがご存知です。

弊社はマイホームさらには賃貸物件の合理的なポートフォリオ所有の強い味方です。

マーケットの頃合いを正確に計るのは不可能です。しかし、購入に最適なタイミングというのがあります。
そのタイミングとは、

1.精神的、経済的にご自身の準備が整った時

2.同じ地区に最低3年以上住む確約がある時

3.ご自身が望む適切な家を見つけた時

ご自身がいざ行動を起こす際には弊社がお力になります。