ここではオアフ島不動産直近6か月(2018年1月~6月)の販売データを前年同時期の6か月と比較し、今後のトレンド変化の兆候となり得る変曲点を見ていきます。
ある一か月分の実績を別のある月と比較するだけでは期間が短く適切な結果は得られません。連続する6か月の平均値を検証することで重要なトレンド変化を見極めるデータを得ることができます。
ここに掲載する過去のデータに関するグラフはMLSデータをもとに作成されたホノルルボードオブリアルターズのものを転載しています。
弊社はこのデータの下記の点に注目します。
1) 6か月データでは一軒家の販売件数が-1.6%とわずかに減少しているの対し、コンドミニアムの販売件数は1.3%の増加で継続的な上昇が見られます。
-中古住宅の代替案として新築コンドミニアムが魅力的であるとバイヤーが判断したのでしょうか?実際に私のクライアントの中には、当初は一軒家の購入を検討していましたがモダンなコンドミニアムの生活にユニークなメリットを見出した方もいらっしゃいます。関連記事:ハワイ暮らし:コンドミニアム?一軒家?
2) 中間販売価格は一軒家で3.9%、コンドミニアムで6.5%と引き続き上昇しています。
-中間販売価格はマーケットおいて以前非常に強い状況です。
3) 物件の在庫水準は一軒家で2.5%、コンドミニアムで4.8%と上昇しています。
-記録的低水準の危機状況は過去6か月でやや回復傾向にあります。
4) 中間売り出し期間と希望販売価格に対する売買価格比率は以前強い状況が見られます。
こちらは1987から2018年6月までのオアフ島内の販売件数と中間販売価格の長期トレンドを示したグラフです。
冬季に底をつく一軒家販売件数の最低値が三年連続で上昇していないことが見て取れます。-一軒家販売件数の横ばいは需要低下の前兆なのでしょうか?
マーケットは引き続き安定的なペースで上昇を見せています。オアフ島の中間販売価格は2011年以来、年4~4.5%の上昇を続けています。これは少なくとも当面の間は持続可能なペースです。関連記事:オアフ島不動産市場の見通し-2018年5月
近年の高金利によるマーケットの展開や方向性への重大な影響は出ていません。関連記事:マーケット上昇!ハワイの投資物件を売るべき?では、正反対だと思われがちな長期住宅ローン利率とオアフ島不動産の中間販売価格の関係性について1987年までデータを遡り分析しています。分析の結果そのような関係性を示す証拠はありませんでした。
上記のグラフではどちらも記録的な低水準から6か月前を契機に跳ね返るような上昇を見せています。最近の危機的な低い在庫水準からようやく安心材料が出てきました。発売中物件一覧掲載月数は今のところ一軒家で3か月、コンドミニアムで2.7か月と下げ止まり、過去に例を見ない低水準2か月からは脱却しています。
参考までに、安定したマーケットでは一般的に5~6か月間在庫状態にあるのが普通です。
まとめ
1) 「不動産場バブルの再来はありますか?」という質問を受けます。
おそらくバブル説は、2005年から2009年のバブル景気とその崩壊の記憶、もしくは購入を検討するバイヤーがより安価な価格を望むあまりに希望的観測から抱く先入観からくるものでしょう。
しかし、2011年から続く年4~4.5%の価格上昇率は、2003年から2006年の急激な上昇に比べると確かにやや緩やかになっています。2003年から2006年の「バブル」は高額価格帯に対する継続不可能なほどの過剰な取引が行われた結果であり、その後の「崩壊」は元の状態に回帰した結果です。
あらためてグラフを見てみると、現在の年率4~4.5%の上昇は長期トレンドとも一致しています。これが普通ということです。前述のとおり住宅取得能力については2011年以来安定しています。
コアロジック社の分析によると、アメリカ住宅用不動産の価値は2018年5月から2019年5月にかけてさらに5.1%の増加が見込まれています。
売却を希望する住宅所有者より購入を目指す賃借人が多ければ、価格は安定的に上昇することになります。
2) 販売価格(prices)の今後の先行きを見極めるには販売件数(closed sales)の変化に注目しましょう。1990年に販売件数が減少し、1991年に価格がその跡を追っています。1997年に販売件数が伸びを見せると2001年には価格も後に続いています。2006年販売件数が下落すると2008年に価格も続いて下落しています。2010年の販売件数上昇後2012年に価格も上がっています。
パターンが見えてきましたでしょうか?販売価格は販売件数のトレンドを追っています。販売件数のグラフでトレンドの転換点がおわかりでしょうか?
結論:オアフ島不動産マーケットの景気は上昇傾向にあり、今後も引き続き上昇する見通しです。