- 市場は正常化しつつあります。一部の指標は平均値に回帰しつつあり、過去2年間、需給関係にひずみを生じさせてきた異常な財政・金融政策は終了しました。
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2022年初頭、減少する記録的低水準の供給量のなか、物件を探す熱心な住宅購入者の間でFOMO―Fear of Missing Out(チャンスを逃すことへの恐怖心)が最高潮に達し、住宅ローンの金利上昇予想が出される前に最低水準の金利を固定化しようとする動きが見られました。
売り物件には38件ものオファーが出されたり、最大で希望価格の30%増で売れた物件があったりと購買熱はピークに達していました。しかし、住宅ローン金利は2008年以来最高の5.78%(2022年6月16日付)に急上昇し、半年前と比べると倍増しています。この変化はその大きさだけでなくスピードも速いため、突然、値ごろ感のあるステッカーショックが発生するのです。ここ数週間、需要は急速に冷え込み、またしても専門家予想が当てにならいことを証明してしまいました。
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なぜこのようなことが起きたのか?
コロナ禍において、FRBはQE Infinityと呼ばれる大規模な通貨供給量の増加を行いました。0
%に近い短期金利は借入コストを下げ、商品及び不動産に対する消費者の需要をあおることになりました。その結果、2021年中にインフレ率が上昇に転じたのです。しかし、FRBジェローム・パウエル議長は、2013年に起きたテーパー・タントラムの再来を避けようとしました。現在では、昨年の彼の慎重な様子見の姿勢は、行動が遅すぎたという見解が強まっています。
サプライチェーンの中断とエネルギー価格の上昇は、特にロシアのウクライナ侵攻以来、消費者物価指数を8.6%に急騰させ、1981年以来の高水準となりました。2021年にFRBが「一過性のインフレ」と考えていたものが、突如として安定した金融情勢と経済活動への脅威となったのです。2022年6月1日、ジャネット・イエレン財務長官は、最近までインフレリスクを誤って判断していたことを認めました。
FRBに課された二つの使命であるデュアルマンデートは、長期的な最大限の雇用と物価安定を促進する金融政策を実施することです。
FRBは高インフレの悪影響を抑制するため、緩和的なスタンスから積極的な引き締めに態度を一転させました。2022年6月15日、FRBは主要政策金利を0.75ポイント引き上げ、1994年以来の大幅な利上げを実施しました。米国経済をソフトランディングさせるため、できれば景気後退を招かないように冷却するため、今後数ヶ月の間にさらなる利上げが予想されます。消費者および企業向け融資は現在、1.5%~1.75%に固定されています。FRBは、2022年末までにこの範囲を2倍に拡大すると予測しています。また、2024年までのインフレ率は2.2%に低下し、失業率は4.1%に上昇するにとどまると見ています。
このような需要破壊を背景に、FRB の利上げは需要主導型インフレを減速させる方向に向かうでしょう。しかし、主にガソリン、エネルギー、食品コストの高騰に起因するコストプッシュ型インフレのリスクは軽減されません。即効性のある解決策はないのです。
30年住宅ローン金利はフェデラルファンド金利と直接連動しているわけではありませんが、インフレ率への期待感が収まらない限り、住宅ローンコストは上昇したままでしょう。
- ハワイでの狂ったような住宅購入熱は過ぎ去りましたが、住宅供給量は少ないままです。
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今後の予想?
弊社は未来を知っているふりをしたりしません。それは他の誰かに任せておきましょう。その代わりに、弊社は動向を観察し、情報を共有し、状況に応じて方向性を見極めていきます。
どれくらいのバイヤーが、どれくらいの期間、購入を先延ばし、果たしてそれが市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
ミレニアル世代と団塊世代の比較
今回のCNBCの富裕層調査によると、ミレニアル世代の富裕層の44%が金利の上昇によって住宅購入が遅れたと回答しています。一方同調査で、ミレニアル世代は団塊世代よりも経済の見通しや投資について楽観的であることも現れています。
ミレニアル世代富裕層の55%が、インフレは1年未満で終わると回答、団塊世代の3分の2は、少なくとも1~2年続くと回答。
ミレニアル世代の90%がFRBのインフレ管理能力を信頼する、またはやや信頼すると回答、団塊世代の38%は全く信頼できないと回答。
ミレニアル世代富裕層の70%が、2022年末には経済が強くなっている、あるいは、かなり強くなっていると考えているのに対し、団塊世代の3分の2は弱くなる、またはかなり弱くなると回答。
最高のインフレヘッジ
思いがけず、私の長年の顧客の一人が、別の投資用不動産を購入することになりました。彼はすでに多くの賃貸物件を所有しており、10年ほど前に購入をやめました。しかし、彼は、ジミー・カーター政権時代の高インフレの際に不動産をたくさん購入し裕福になったと話してくれました。彼は、「しばらくは高インフレが続くだろう、不動産のような有形資産が最高のインフレヘッジになる」と考えているようです。
時間が経てばいろいろとなことが解明されるでしょうが、今のところは、最新のグラフを歴史的背景のなかで検証してみましょう。
1)30年固定金利住宅ローン金利-1987年~2022年6月16日
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2)30年固定金利住宅ローン金利-2020年~2022年6月16日期拡大
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3) 供給 – オアフ島の一戸建て及びコンドミニアムの有効在庫数
過去最低水準に近いものの、最近では増加傾向にある。(2022年5月31日までのデータ)
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4)需要-現在エスクロー中で、間もなく販売件数に計上される予定の物件数
グラフでは、2022年年初3ヶ月間にバイヤーがエスクローへ殺到したことを示しています。直近の住宅ローン金利の高騰で、販売保留の減少傾向が反転する前の駆け込み需要が見られます。(2022年5月31日までのデータ)
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5) 販売件数
販売保留件数はいずれ30~60日後に販売件数に移り変わります。販売保留件数が減速しているため、数ヶ月以内には、2021年夏が今回の一連のサイクルにおける販売件数のピークであったと結論付けることになるでしょう。(2022年5月31日までのデータ)
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6) MRI – Months of Remaining Inventory別名Months’ Supply of Active Inventory
これは、需要と供給を1つの比率にまとめた指標です。MRIは、現在の有効な売り部件数毎月の販売件数で割ったものです。MRIは、既存の在庫がどれだけ速く売れるか、または、毎月の販売速度で、現在の有効な在庫を販売するために何ヶ月かかるかを示してくれます。MRIが低ければ低いほど、既存の在庫が早く売れることを意味しています。
一世帯用一戸建てのMRIは2021年12月に数十年ぶりの底を打ち、1月から上昇傾向にあります。コンドミニアムのMRIはいまだ底値に近く、来月のデータで上昇反転を見せてくるでしょう。- MRIが上昇傾向にあるということは、市場が鈍化していることを意味します。(2022年5月31日までのデータ)
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7) 中間販売価格-オアフ島一世帯用一戸建てとコンドミニアム
過去 2 年間の米国の財政・金融政策により、オアフ島の不動産価格は記録的な水準に達しました。金利が上昇し、需要が鈍化すれば、価格上昇率も正常化するでしょう。
しかし、ハワイはパラダイスとして知られています。ハワイ不動産は世界的な商品であり、特に不確実な時代に資金の安全な避難先となります。在庫が少なく、不況のリスクがあっても、価格は高止まりし、新しい価格停滞期を形成する可能性があります。価格下落を待つのは、またしても無駄な時間稼ぎになるかもしれません。(2022年5月31日までのデータ)
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バイヤーにとって、その意味とは?
- 現金があれば怖いものなしです。住宅ローンを借りる必要がないなら、あなたは有利な立場にあります。
- 過去 2 年間と比べると、物件を競い合うバイヤーは減ってきています。ここ数ヶ月の間、希望販売価格に対する平均販売価格は100%です。おそらく、不動産購入に高い競い値を提示する必要はなくなったでしょう。
- 30年固定金利住宅ローンには手が出ないという方は、7年または10年の変動金利住宅ローン(ARM)など、調整可能な金利をご検討ください。これは、気弱な人には向いていません。金利が再び下がったときに借り換えを行うための経済的能力を見越す必要があるからです。最終的には、金利は下がるでしょうから。
セラーにとってはどうでしょうか?
- この2年間、不動産は記録的な速さで売却されてきました。しかし、需要が少なくなったということは、家を売るのに時間がかかるようになることを意味します。
- この2年間は、多くのバイヤーがどんどん値上がりする数少ない物件を追いかけていたため、積極的に物件を高値で売ることができたのです。しかし、今日の市場では、過剰な値付けが逆効果になる可能性があります。
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まとめ
市場のタイミングを計るのは困難です。だからこそ、弊社では、
- 定住を決めた時
- ご自身の予算と希望に合った物件を見つけた時
に購入することをお勧めしています。